中毒になった瞬間②~極楽背針
最初の釣りはヤマメ釣りだったが、その頃から傾倒していた伊藤稔さんが、鮎の友釣りの方がおもしろいと言っているのを聞いて、ちょっとやってみることにした。何をどうしたらよいかわからないし、周囲に友釣りをやっている人もいなかったので、『ベーシック鮎読本』(週刊釣りサンデー刊伊藤稔著)という本を買ってきて、一ページ目から読んで行った。最初はノーマル仕掛けで、流れのきつくない所で泳がせをしていたが、極楽背針のことが出ていたので、自作して、それを試してみることにした。本当にこんな物で鮎が釣れるのか半信半疑だったが、極楽背針にマッチするお勧めの仕掛けも揃えた。水中糸メタル0・08号付け糸0.3号鼻環周り1.2号だったと思う。鮎竿は持っていなかったので、竿はがまかつ本流スペシャル(渓流用)9mを使うことにした。水面を滑らせるように、おとり鮎を沖に誘導して、川の真ん中ぐらいのところで、竿を上流側に倒してみた。水深もあって、流れもそれなりにきついのに、養殖のおとり鮎がスーッと入っていった。直角三角形の90度の底点におとり鮎、30度の底点に穂先、45度の底点が自分というトライアングルになっていた。穂先を曲げて、ギュッと脇を締めて竿を持っていると、おとり鮎を浮き上がらせずに、水中で止められるような気がした。ほどなくして、目印に凄い反応が出た。両手でタメながら、少し下流に下がって、タモ受けしたのは20cmオーバーのきれいな野鮎だった。養殖おとりが流れに沈む感触、アタリ、野鮎とのやり取り・・・、どれを取っても、今までにない異次元ファンタジーワールドだった。背中に、相模○○会と刺繍の入ったベストを着ていた釣り人さんの拍手と掛け声で、我に返った。それから、同じ場所で、しばしの入れ掛かりを堪能し、循環の釣りの楽しさを実感した。今から10年ちょっと前は、地元の中津川ももっときれいだったし、素人でも、そこそこ釣れたものだった。背針の魔力に取り憑かれて、背針の釣りを、いや、鮎の友釣りをもっともっと知りたいと感じた瞬間だった。
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